富沢遺跡(地底の森のミュージアム)

古代遺跡と縄文思想


   二万年以上の昔から太白の地で営まれていた先人達の暮らしが、それらの遺構や出土品から明らかになっている。
   地表下5mの地下で発見された後期旧石器時代の文化層。火を焚いた跡や石器、樹木、昆虫の遺体、動物のフンなど、自然環境や暮らしを伝える遺物が掘り出された。それらは凡そ二万年前のものである。その頃、地球は最氷河期で平均気温が現在より7〜8度低く、最寒冷期に当たっていたと言われる。 当時の気温風土を証明するかのように遺跡から出土した樹木はトウヒやグイマツなどの針葉樹が多く、僅かにシラカバなどの広葉樹が混じっていた。富沢遺跡は、旧石器時代の人間と自然環境を具体的に伝える、世界に例がない遺跡として注目を集めることになったのである。(仙台には上高森遺跡=60万年前、高森遺跡=50万年前の先石器時代)

地底の森ミュージアム 仙台市富沢遺跡保存館

富沢遺跡では昭和62・63年(1987・1988)に小学校建設のための事前調査が行われました。遺跡内では30回目の調査だったので「富沢遺跡第30次調査」と呼んでいます。上から順に近世・中世・平安時代・古墳時代・弥生時代の水田跡、植物の根や茎がよく残っている土(泥炭層)、その下からは縄文時代の穴や倒木の跡が見つかりました。さらに2m下(現在の地面から約5m下)からは、約2万年前の旧石器時代に生きた人達の活動跡と森林跡が一緒に見つかりました。
 このことは世界的にも貴重な発見だったので、遺跡を発掘されたままの状態で保存・公開するために、建設を予定していた小学校を別の場所へ移し、地底の森ミュージアムを建てることになりました。その後、平成8年(1996)11月2日に開館しました。

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